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独占インタビュー マジシャン リック・トーマス



独占インタビュー
マジシャン リック・トーマス

「自分はまだ到達していない。
 決して追いつくことがなくても前に進む方がいい」

RICK THOMAS
スターダストでマジック・ショーを公演中。
ラスベガス最高のアフタヌーン・ショーとして高く評価されている。
トラと一緒に生活し、共にショーを創りあげる。
休む暇もないほど一日中動き回るのは「まだ到達していない」から。
ラスベガス史上最高のショーの仲間入りをするためには
まだ足を止めるわけにはいかない。

 

ラスベガス中心部からフリーウェイに乗り車を走らせること30分。乾いた景色が目の前に広がる。その中にたたずむひときわ大きな裏庭のある家。「ハ〜イ!」とこの広大な風景に負けない風貌のリック・トーマスが出迎えてくれた。人を包み込むような優しい笑顔。何度かお会いしたことはあるが、物腰が柔らかいのはいつも同じだ。しかしそれとは対照的に、彼の心の中では静かに野心の火が燃えていることに気づくのには時間がかからない。

トラ8頭と同居。
毎朝2時間の世話を欠かさない

 岩のオブジェから水が流れるプールとバーカウンターがある中庭。夏の夜にここでバーベキュー・パーティをしたら楽しいだろうな、などと想像していた。そこに登場したのは、中形犬ほどの大きさのトラ!プールに入り、ワニのおもちゃで遊び始めた。
「この子はモーフィオスといって4ヶ月になる男の子です。今、家にはトラが8頭いてショーに出ているのはそのうち6頭。オウムも3羽います。僕とあと2人で毎日世話をしていますね。トラはネコと同じで体をきれいにしたがる動物だから、いつも水を用意して清潔にしてあげないといけない。毎朝ショーの前に2時間ぐらい掃除して、ショーが終わった後も1時間以上かけて水を替えたりする。トラ1頭につき1日に10〜15ポンド(約4.5〜7キロ)のえさを食べます。13年間もこうやって一緒に住んでいるから、この状況がどんなにすばらしいかつい忘れてしまいがちだけど、これは楽しいし幸せなことですね」
 この動物たちは週に6日、スターダストに「通勤」しているわけだ。動物たちもご苦労様だが、1日に2回のショーに加え、朝晩の世話を休むことなく続けるリックの働きぶりはすごい。

ロイの事故は他の事故と同じ。
ショーには何の悪影響もない

 2003年10月3日、ラスベガスの看板ショーだった「シーグフリード&ロイ」で、公演中にロイがトラにケガをさせられるという事故が起こった。これは世界中で大きく報道され、「トラを使ったショーは危ない」というレッテルが貼られた感もあった。
「あのアクシデントが僕のショーに影響を与えたということはありません。車とか飛行機とか、事故なんて毎日世界のどこかで起きている。でもそれで僕たちの生活のしかたが変わるわけではない。あれもそういった事故のひとつというだけ。今まで通り前に進むしかない。もちろん、事故を防ぐために万全の準備は必要です。実際に僕が観客から言われるのは "トラを大切にしてくれてありがとう" "トラを見せてくれてありがとう" ということ。人々のトラと触れ合いたいという気持ちは全く変わっていないんです」
 動物と一緒にショーをする上で難しいのはどんなことだろうか。
「態度や機嫌をそれぞれの個性も考慮して毎日観察しなければいけないこと。トラを常に快適な状況に置いてあげることも必要です。機嫌を損ねたらショーには出せないし、だからと言って動物に強制的に何かをさせるということがあってはいけない。人間も動物も同じですよ。人間にも一緒に働きやすい人もいれば、そうじゃない人もいる。トラだって、一緒にショーをするのが楽なのもいれば、そうじゃないのもいる」
 ショーは絶滅の危機に瀕した動物たちのことをより多くの人に知ってもらうためのツールでもあると考える。ショーの中で動物を登場させるだけではなく、それぞれの紹介をするのも理解を深めてもらうために大切なこと。

トロピカーナからスターダストへ。
前進する環境が整った

 今年3月25日からスターダストへ移動。シアターは大きくなり、音響や照明も格段に良くなった。ホテル側の協力も大きく、何をしたいのか、どんなショーにしたいのかを尊重してくれる。新しいイリュージョンやダンスナンバーが加わり、ダンサーの数もスタッフの数も増えた。
「雰囲気はアットホームですが規模が大きくなりました。劇場の造りのおかげでもあるんだけど、観客とコミュニケーションがしやすくなりましたね。みんなが僕のマジックを心で感じてくれているのがよくわかる。それに、使えるスペースが広くなったから将来的にはもっと大きなことができると思う。今もいろいろ準備しているんだけど。トロピカーナではショーを変えていくことにあまり理解を示してもらえなかったけど、スターダストに移って "手を加えること" や "前に進むこと" が楽にできるようになりましたね」
 子どもが登場する場面では、ステージ上の子のリアクションがかなりおもしろい。できすぎているように見えるのでサクラなのではないかとよく疑われるそうだが、実際には「うちの子をステージに上げて」という親のリクエストにも応じない。長年培ってきた観察力と感で「これだ!」と思う子どもを自ら選ぶのだ。動物と子ども、どちらも扱うのが難しそうだが・・・。
「子どもにいろんなことをやらせるのが上手いってよく言われますね。長年、子どもとステージでやりとりしてきた成果じゃないかな。いつも成功するとは限らないけれどね。先に上げた子どもを帰して、別の子を選ばなきゃいけないこともあります(笑)。観客の前では子どもを扱う方が難しいけれど、バックステージではトラを扱う方が難しいですね。ステージにはみんな美しい姿で登場するけど、バックステージでは散らかし放題(笑)。掃除してばかりでスタッフは文句を言っていますよ」
 ショーの中で特にウケが良いのは「浮遊」と「オートバイ」のイリュージョン。このふたつは自身のお気に入りでもある。
「エンターテイメントでも人々が本当に感動する"瞬間"があるものは実はあまり多くないと思うんです。僕のショーにはラッキーなことにそれがある。感動でゾクッとする瞬間があるんです。観客が今目の前で起きていることが信じられないっていう表情をする。それはいいエンターテイメントの証拠だと思う」

まだ満足していない。
ラスベガス史上最高のショーを創る

1 日に2回、午後2時と4時からのショーをこなす。1回目の1時間10分あまりのショーを終えた後、すぐさま会場の外へ出て観客との写真撮影に応じたり、サインをしたりする。その後、全く休む暇もなくバックステージに走り、4時のショーへ。どうしてそこまでするのだろうか?
「う〜ん、自分でも時々考えますね。今までにある程度のことは達成したという気持ちはある。でも、心の中にあるもの、 "自分はまだ到達していない" という気持ちを外に押し出している部分もありますね。誰でも自分なりの目標や夢、願いがあると思うんだけど、僕はまだそれを達成できていない。人からはもう十分成し遂げているじゃないかって言われますが。 "いつ到達したという気持ちになるのか" と思いながらも自分の背中を押し続けているんです。 "もう全てやり遂げた" と思ってしまうよりは、さらなる目標に向かって前に進む方が人間にとって良いことだと思います。次々に新しい目標を立てるから、追いつくことがないんだけれど。もちろん、僕は自分の過去にも現在にも感謝しています。だからと言って、毎日同じことを繰り返したくない。何か新しいことを考えていたいんです」
 ショーを通して「夢をもつことがどんなにすばらしいか」「夢を強く信じれば現実になる」というメッセージを伝える。リック・トーマス自身は夢をかなえてきたのだろうか。そして、今の夢は?
「僕にとってかなった夢はラスベガスでショーをするということですね。子どもの頃は、ラスベガスでショーをするなんて無理だと言われました。両親は協力的でしたが。正直に言うと、どんなに努力しても報われないこともあると思います。だからこそ、僕自身の夢が叶ったことに感謝しているんです。もちろん努力はしてきました。運もタイミングもあったと思う。こうしてラスベガスでショーをする機会に恵まれているのはすばらしいことですね。でも、今になって気づいたことは、どこにいようと、どこのシアターで演じていようと、どんな観客が相手であろうと、演じていること自体がすばらしいということ。一度幕が開けば人を楽しませること、演じること自体が一番重要なんです。どこにいるかなんて関係ない。自分が何をしているかっていうこと。たぶん、僕がラスベガス以外の土地でショーをしていたとしてもそれはそれで幸せだったと思います。今は、ラスベガスでもっともっとやり遂げたいことができたけれどね。僕の今の夢はさらに大きなショーをすること。ラスベガス史上最高と言われるショーの仲間入りをすることですね」

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